「美しいぼろ布展」究極のミニマリズムを考える

「美しいぼろ布展」究極のミニマリズムを考える

今日は3月30日から開かれている浅草アミューズミュージアム「美しいぼろ布展」を閲覧してきました。

本ギャラリーは民俗学者 田中忠三郎氏が50年以上に渡り、研究収集してきた資料の中から「BORO」、「古民具」、黒澤明監督の映画「夢」で使用された衣裳などを展示していました。特にBOROは学術的にも価値が高いコレクションですが、最近では「BORO」でファッション・芸術的価値も高い存在として知られているようです。

私も実際見てきて、“モノの価値”について、とても考えさせられる深みのある展開会だと思いました。一部ですが、そんな「BORO」や体験してきた展示会を紹介しつつ考えたことをご紹介していこうと思います。

BORO(ぼろ)とは?

BORO(ぼろ)とは何のことでしょう?
よく、ボロボロの服を着ているなど表現があるようにBOROとは使い古しの役に立たなくなった衣服のことをさします。

実際に辞書「大辞林」で「ぼろ」の意味を引いてみると以下のように書いています。

1. 使い古して役に立たなくなった布。ぼろぎれ。 「くず屋に-を出す」
2. 着古して破れた衣服。つぎはぎをしてむさくるしい衣服。 「 -をまとう」
3. つたない箇所。欠点。失敗。 「余りしゃべると-が出る」 「 -をかくす」

引用:「大辞林」第三版

1、2の意味は今回まさに、展示会で見てきたBOROをご覧になると一目瞭然です!
3の「つなない箇所。欠点。失敗。」の意味を一般的にはありますが、今回はそんな意味を再度考え直すよい機会になりましたので、
まずは、展示会のご案内から見ていきたいと思います。

BOROの見直し

今回、閲覧してきた「美しいぼろ布展」は冒頭にも書いたように民俗学者 田中忠三郎氏が研究のために昭和40年代から青森県の山・農・漁村を歩き回り、布と人の営みを探し求めて収集したコレクションです。
古くから青森は寒冷地であり収穫も少ない極貧の土地としての歴史がありました。その中で営む農村・漁民は少しでも暖かく、丈夫な衣類を求めた結果が、麻布を何重にも糸で縫い合わせた生活に密着したBOROに集約されています。ちなみに、青森では寒冷地であるがため綿花はそだたず木綿などは一部の特権階級など富裕層にしかいきわたっていなかったようす。

では、実際に展示会の一部をご紹介します!

掛け布団
明治~大正期のもので、生地が弱った麻の仕事着を何枚も重ねて縫い合わせたもので、なんと重さは8キログラムもあるらしいです!

丹前
防寒用の着物「丹前(たんぜん)」ですが、ご覧の通りもうぼろぼろです!けれども、全体の色彩に統一感があり美しさも感じられます

麻の腰巻
野良作業をした女性がつけていた麻の腰巻。作業後に腰巻をとると1日の労働からの解放と、衣への安らぎと喜びを感じたとありました。
今のサラリーマンと同じ感じるものがあるかもしれません!?

美しいぼろ布展 ~都築響一がみたBORO~
開催場所:東京都 浅草アミューズミュージアム
開催期間:2018年3月30日(金)~2019年3月31日(日)
時間:10:00~18:00(最終入館は17:30)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)
住所:〒111-0032 東京都台東区浅草2丁目34番3号
料金:一般1,080円 大高生864円 中小学生540円
公式ホームページ:https://www.amusemuseum.com/



BOROは究極のミニマム

BOROを見ていると最初は古くてお世辞にも綺麗とは思えなかったのですが、その世界をだんだん体験していくうちに不思議とカッコよさを感じました。なぜ、カッコよさを感じたのかなと自分でも考えてみました。

BOROとは、前述したように暖さという生命を寒冷から守る一途な欲求から生まれてきました。ぼろぼろの布は一見ファッション性からほど遠く見た目も悪いように思われますが、その純粋な欲求がゆえに無駄もない一品なのではと考えられます。
最近ではミニマリストの方が増えてきて、一種の「断・捨・離」ブームで必要なもの以外は、捨てられる傾向が多々みらえるように思います。
ですが、この展示会をみると捨てられる運命だったぼろぼろの作業着でも、一枚一枚つなぎあわせることで新たな必需品として生まれ変わる「不要の要」を感じ取ることができました。

断・捨・離を否定するつもりではありませんが、単に捨てるだけではなく再度見直すことで再生することができないかを改めて、見直すきっかけになると思います。そういう意味では、BOROは不要なものを集め、再度1つの要をうみだす究極のミニマリズムだともいえると思います。

冒頭であげたぼろの意味に「つなない箇所。欠点。失敗。」という意味がありますが、そんなつたなく欠点があるモノでも一つ一つ丁寧に縫い合わせ重ねていくことで、必要なものへとまたBOROのように役立つ存在として生まれ変わる。そういった隠された面もクローズアップすると、さらに深く味わえるのではないでしょうか。

ちなみに、BOROはファッション業界でもすでに見直され2014-15秋冬コレクション「ふきよせ」として登場しています。ぜひ、今後の動向を注視したいところですね。