「君たちはどう生きるか」から学ぶ “貧乏ということについて”

「君たちはどう生きるか」から学ぶ “貧乏ということについて”

今回は、シリーズでお届けしている「君たちはどう生きるか」第4章『貧しき友』を題材に、“貧乏ということについて”を考えていこうと思います。

貧困は世界中でも、まだまだ大きな問題になっています。また、日本の中でも格差社会が貧困問題として取り上げられており、なかなか問題解決に至っておりません。

ここでは、貧困自体の解決方法を考えるというよりは、貧困が実在する社会で我々がどういったことに目を向けて人間らしく生きていくかをテーマにしてお送りします。

人によっては、なかなか貧困について考えることはないかもしれませんが、ぜひ「君たちはどう生きるか」を題材にして、一緒に考えていければと思います。

※記事は、「君たちはどう生きるか」をご覧になった方を対象に書いております。

『貧しき友』のあらすじと要点

早速、第4章『貧しき友』のあらすじ要点をご紹介していきます。

第4章のエピソードは、親が豆腐屋を営む浦川君の家にコペル君が訪問することがきっかけで、話が展開されてきます。

浦川君はしばらく学校を休んでいました。

いじめられっ子だったというのもあるのでしょうか、クラスの皆は浦川君の休みを、気にかけていませんでした。

しかし、そんな中コペル君だけは気にかかり、ある日浦川君の家に訪問することを決意しました。

浦川君の豆腐屋は、いかにも貧しい人たちが住んでいそうな通りにあり、コペル君も少し戸惑いましたが、意を決して浦川君の家を訪問すると、お店を手伝だっている浦川君の姿がありました。

そうです。浦川君が休んでいた理由は、家の豆腐屋を手伝うために休んでいたのです。

なぜ学校に行かずに豆腐屋を手伝っているかを浦川くんはコペル君に打ち明けてくれました。

その理由は、浦川くんの父親が山形の叔父さんにお金の工面を頼みに行ってしまい人手が足りなくなってしまい、お店を手伝わなければならなくなったとうことでした。

コペル君はそんな、学校に行けない浦川君を気づかって、その日から学校で習ったことを浦川君に教えるために、わざわざ浦川君の家に訪問して教えることにしました。

また、コペル君は同じ年の浦川君が困難に必死で立ち向かっていることに、とても感心し刺激をうけました。

普段、学校ではあまり目立たなく、ばかにされているけど、学校と家業を両立して目の前にある壁に立ち向かっている浦川君をバカにできる奴はいやしないんだと!

君たちはどう生きるか 貧しき友
参照元:「漫画 君たちはどう生きるか」『貧しき友』

帰宅後、コペル君はそんな熱い胸中をおじさんに伝えました。

例によって、おじさんはその話を受けて、コペル君に人として貧乏ということについて、どう考えるべきかをノートに書いて残します。

以下、おじさんが残したメッセージのポイントです。

  • 本当の貧困とは貧富の差を卑屈に思うことである
  • 世の中は不平等だということの認識と、感謝の気持ち

今回は、上記2つのポイントを深掘りして、さらに見ていこうと思います。

卑屈こそが真の貧困

おじさんはノートに残したメッセージで、コペル君を褒めています。

それは、コペル君が浦川君を貧乏だからといって軽蔑したり、バカにしたりなどせず、逆に浦川君の困難に立ち向かっている姿に対し敬意を表したからです。

人が貧乏だからといって、その人を見下さない心って、大事ですよね!

さらに、おじさんは逆の立場、貧乏な人の立場に対しても、以下のようなメッセージを残しています。

貧乏だからといって、何も引け目を感じなくてもいいはずだ。人間の本当の値打ちは、いうまでもなく、その人の着物や住居や食物にあるわけじゃない。どんなに立派な着物を着、豪勢な邸(やしき)に住んで見たところで、馬鹿な奴は馬鹿な奴、下等な人間は下等な人間で、人間としての値打ちがそのためにあがりはしないし、高潔な心をもち、立派な見識を持っている人なら、たとえ貧乏していたってやっぱり尊敬すべき偉い人だ。

参照元:「君たちはどう生きるか」『貧しき友』

おじさんも書いているように、貧富の差で人間としての価値の貴賎が決まるわけではありません!

人間の本当の値打ちは、その人がもつ高潔な心であったり、高い見識であったり、困難に負けない意思や勇気など、目に見えない人間の内面にこそあります。

だから、金持ちだからといって上から人を見下したり、貧乏だからといって卑屈になることはありません。

ただ人として互いに尊敬しあえるかということが大事になってきます。

子どもの頃は、皆んなコペル君のように真っさらな気持ちで、人と接していたと思います。

ただ、大人になり社会でもまれるうちに、いつのまに卑屈な精神が生まれ、誰かを見下してしまったり、自慢してしまったりと、人の自尊心を傷つけてしまっていることもあります。

ぜひ、そうならないように、再度自分の中に卑屈さが残っていないか見直してみたいですね。

世の中が不平等だということの認識と、感謝の気持ち

2つ目のポイントをみていきます。

まずは、おじさんのノートをご覧ください。

熱い風が、その上を通って、汽車の中まで吹き込んで来た。君は両国を出るとすぐ、もうアイスクリームがたべたいといい出したね。だが、東京の暑さがたまらなくなって、僕たちが房州に出かけて行ったあのとき、あの数知れない煙突の一本、一本の下に、それぞれ何十人、何百人という労働者が汗を流し埃(ほこり)にまみれて働いていたんだ。

同じ天地に挟まれて生きている人間ですが、猛暑の中アイスを食べてのんびりと過ごしている人もいれば、汗水たらして働いている人もいます。

これは、別にアイスを食べて楽をしてはいけないという話ではありませんね。

ただ、今幸せにしている人も、同時に今、困難に直面している人がいるという認識をすることで、現在の境遇に感謝をし、そして自分が社会に対して何をすべきかを考える必要があると言っています。

おじさんのコペル君への激励の言葉を見ていきます。

ただ、いまの君にしっかりとわかっていてもらいたいと思うことは、このような世の中で、君のようになんの妨げもなく勉強ができ、自分の才能を思うままに延ばしてゆけるということが、どんなにありがたいことか、ということだ。
コペル君!「ありがたい」という言葉によく気をつけて見たまえ。この言葉は、「感謝すべきことだ」とか、「御礼をいうだけの値打ちがある」とかという意味で使われているね。しかし、この言葉のもとの意味は、「そうあることがむずかしい」という意味だ。「めったにあることじゃない」という意味だ。自分の受けている仕合せが、めったにあることじゃあないと思えばこそ、われわれは、それに感謝する気持ちになる。

参照元:「君たちはどう生きるか」『貧しき友』

普段、ついつい自分の悩みだけに目が行きがちですが、ひょっとしたら今、自分自身が悩んでいる間にももっと、大きな困難に直面している人もいるかもしれません。

その上で、自分の今の境遇に感謝をして行動していく。そういった俯瞰(ふかん)した目で、見ていくと勇気や自ずと自分が何をするべきかに気づくきっかけになるかもしれませんね。

まとめ

以上、「君たちはどう生きるか」の第4章『貧しき友』をご紹介しました。

貧困というテーマはなかなか深刻で普段、目をそらしたくなるテーマではありましたが、そのことを考えていくことで、人間の本当の価値を確認し、それに照らし合わせることで現在の社会の問題が浮き彫りにでてくるようでした。

今、自分が社会に対してどんなことができるかを、ぜひ考えていってはどうでしょうか。

私も考えて、行動していきたいと思います!

「君たちはどう生きるか」から学ぶ “人間の結びつきについて”